『うさぎ幻化行』

うさぎ幻化行 (創元クライム・クラブ)

うさぎ幻化行 (創元クライム・クラブ)

北森鴻さんの遺作になってしまった作品です。
音響技術者だった義兄が死に、彼に「うさぎ」と呼ばれた義妹が、彼の残した「遺書」である「日本の音100選」の謎を巡る旅に出る、というお話です。
何というか、読んでいるうちに、どんどん不思議な世界に迷い込んでいくような印象を受ける作品でした。
ただ亡くなった人を悼むだけのお話かと思ったら、最後には意外な真相が見えてきて、きちんとミステリになっているのは、さすがという所。

北森鴻さんについては、たぶん、初めてリアルタイムで好きな作家さんが亡くなるニュースを見たと思います。
もっともっと「冬狐堂シリーズ」と「蓮丈那智フィールドファイルシリーズ」を読みたかったです。
彼の死が、悔やまれてなりません。