『少年検閲官』

少年検閲官 (ミステリ・フロンティア)

少年検閲官 (ミステリ・フロンティア)

北山猛邦さんの作品。
この人の事はよく知らないのですが、某書評サイトで紹介されているのを見て、読んでみようと思いました。


感想。
う〜ん、いまいち……?
まず、この作品の設定から説明しますか。
書物が禁止され、もし持っているのが見つかれば、本は直ちに燃やされ(これを焚書という)、処罰されてしまう、という理不尽な時代です。
その他にも、各地で津波や洪水が多発したり、海の汚染が進んでいたりと、現実世界と違う点がちらほらと。
そんな中、日本にある小さな町が主な舞台です。
その町では、最近「探偵」という謎の人物が非常に恐れられていました。
探偵は、その町を囲む森にいるとされ、出会った者の首を切って殺す、といわれて恐れられていました。
実際に、首切り死体となって見つかった人が何人か出ています。
しかし、町の住人達は、それが殺人事件だ、という認識を持てないのです。
何故ならば、書物が悉く駆逐されてしまっているから。
皆、「ミステリ」というのがどういうものなのか、分からないのです。
そんな町に「ミステリ」を探してやって来た、英国人の少年クリス。
彼は、亡き父親からある程度「ミステリ」とはどういうものなのかを教えられているため、他の人とは違った視点で事件を調べます。
そんな中、更に殺人事件が起き、政府から派遣された少年検閲官が町にやって来ます。
少年検閲官とは、日本で焚書が行われた際、ミステリの粋がガジェットという宝石のようなものに書き込んで保存されたのですが、それがらみの事件が起こった時に、政府から派遣される特殊捜査官のようなもの、でしょうか。
……と、ここまで書いて、うだうだ説明するのが面倒くさくなったので、あらすじ(というか設定)紹介はここまで。


一言でいうと、トリックはバカっぽいです。
「書物がない」という設定があるからこそ、実現可能なトリックですが、それにしても……。
そして、前半のテンポが悪い。
何度か挫折しそうになりました。
少年検閲官が登場してからは、事件がテンポ良く進んで、読めないこともないかな?みたいな。
「この世から書物、そしてミステリという概念がなくなったら、どうなるか?」という着眼点は非常に良いと思うのですが、それがあまり生かされていないような気がします。
もし、続編が出たら、読むかな……?
う〜ん、ちょっと迷います。