『写楽殺人事件』

写楽殺人事件 (講談社文庫)

アートミステリィを得意とする、高橋克彦氏の作品。
彼については、大学の図書館でたまたま『ゴッホ殺人事件』を読んで、それがなかなかに面白く、それ以来注目していた作家さんです。
この本の他にも、『春信殺人事件』も読みました。


感想を一言でいうと、ひたすら上手い!と唸るばかりです。
現実の殺人事件よりも、「写楽」とは誰なのか?*1についての仮説の組み方が、素晴らしいです。
ゴッホ殺人事件』でも、ゴッホは自殺ではない、という仮説を見事に組み立てて、感心してしまいました。
ダ・ヴィンチ・コード*2』なんかのへなちょこ具合と比べると、ああ、これぞ本物のアートミステリィ!といった感じ。

*1:写楽は、寛政年間に活躍した浮世絵作家。ただし、作画期間が10ヶ月と非常に短く、どのような人物なのかもはっきりとせず、謎の多い人物。阿波の能役者説や外国人説など、その正体については諸説入り乱れているらしい。

*2:私の年間「壁本」ランキング堂々の第1位