『人柱はミイラと出会う』

人柱はミイラと出会う

人柱はミイラと出会う

まず、題名のインパクトにノックアウトされました。
石持浅海さんの作品です。
今年の5月に出版されたから、比較的新しいですね。


物語の舞台は、「人柱」「黒衣」「参勤交代」など、昔の日本にあった風習がそのまんま残った、パラレルワールドの日本(札幌市)。
とは言っても、人柱は「人柱職人」と呼ばれ、昔のように犠牲になるのではなく、数ヶ月間(長い時には数年間も)工事現場の基礎に作った部屋に入って1人過ごし、工事が終われば生きたまま出てきますし、黒衣も活躍するのは政治の世界で、黒いシャツとスーツと頭巾という奇妙な格好ではありますが、政治家を議場でサポートする秘書のような感じです。*1

そんな、ちょっと変わった日本の風習にいちいちびっくりするのが、アメリカからの留学生のリリー・メイスです*2
彼女と、ホームステイ先の一人娘・一木慶子が事件に巻き込まれたり立ち会ったりして、それを解決するのが、慶子の従兄弟であり人柱職人の東郷直海です。
リリーと東郷の恋愛模様も、ストーリィに華を添えたり、添えなかったり。

奇妙な風習を非常に効果的に事件に取り入れていて、とても楽しめる作品でした。

*1:しかし、政治家の秘書ではなく公務員という設定になっています

*2:ラストでは、アメリカの変わった風習に東郷がビックリするシーンもありますが