『レストア オルゴール修復師・雪永鋼の事件簿』

仕事が忙しい間も、暇になってからも、一応本は読んでいたのですが、やっとレビューを再開する気になりました。

レストア  オルゴール修復師・雪永鋼の事件簿 (カッパ・ノベルス)

レストア オルゴール修復師・雪永鋼の事件簿 (カッパ・ノベルス)

太田忠司さんの作品です。
太田忠司さんと言えば、私的には「ミステリなふたり」が最高に好きです。
ミステリなふたり (幻冬舎文庫)

ミステリなふたり (幻冬舎文庫)

ていうか、この作品に出てくる奥さんになりたいっ!
奥さんはバリバリの警察官、旦那さんは家事おまかせのイラストレータなんです。
こういう、家事が趣味で在宅で仕事のできる旦那さんが欲しいです。
どうでもいいですが、この奥さん、絶対にツンデレだw

お話がそれましたが。
タイトルの『レストア』という作品は、題名のとおり、雪永鋼というオルゴール修復師が主人公です。
彼の元に持ち込まれたオルゴールには、必ず何か謎(というか因縁?)があって、オルゴールを修復しつつ、その謎を解いていく、という形の連続短編集になっています。
この作品の最大の特徴といえば、何と言っても、主人公が精神の病に冒されていること。
彼の最大の顧客である、遠江早苗という謎のマダム(笑)の言葉でもありますが*1、彼はオルゴールを直すと同時に、持ち主が抱えている問題を解決し、自分の精神も少しずつ治していく、そいういう再生の物語でもあるのです。
作中に登場するのは、非常に価値のあるアンティークのオルゴールから、数万円で買える量産型のオルゴールまで色々です。
私自身、一応女の子なので、小さいときには良くオルゴール付きのジュエリーボックスとかを買って貰ったりしましたが、そういう安物でも(←おいおい……)オルゴールの音色って、何とも言えず心に染みますよね。

この作品を読んで、本当に良いオルゴールの音を、聞いてみたくなりました。

*1:帯にも採用されていますが、「あなたが直しているのはオルゴールだけじゃないのよ」という台詞