<成人>18歳から? 法務省が法制審に諮問へ

記事は毎日新聞です。

 「成人」の年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正の是非について、法務省は2月に法制審議会へ諮問する方針を固めた。07年の通常国会で成立した、憲法改正手続きのための国民投票法投票権者を原則18歳としたことに伴うもので、約1年かけて議論し、結論を出す予定。改正されれば契約や結婚のほか、飲酒、喫煙など他官庁が所管するさまざまな分野に影響しそうだ。  

 現在の民法は成人を満20歳と規定。そのうえで▽未成年者の契約(ローンなど)には親権者の同意が必要▽結婚の最低年齢は男18歳、女16歳で、未成年者の結婚には父母の同意が必要▽養子縁組で親になれるのは成人−−などと定める。

 仮に成人を18歳とした場合「取引できる年齢層が広がり、経済活動が促進する」との見方がある一方、若年者の保護に逆行する可能性を懸念する指摘もある。また「結婚に対する父母の同意が男だけが不要になる」ことも想定され、結婚最低年齢に男女差があること自体も議論になりそうだ。

 このほか、20歳未満の飲酒や喫煙が法律で禁止されているのは民法を前提としている。20歳未満を少年とする少年法の見直し議論に発展する可能性もある。

 関係者によると、今回の諮問は方向性を示さず、引き下げの是非は全く白紙という。同省幹部は「現代の18歳が大人と呼べるほど成熟しているか疑問もある。民法少年法も、それぞれの法の役割を踏まえ、慎重に議論していく」と話している。

 政府の「年齢条項の見直しに関する検討委員会」(委員長・二橋正弘官房副長官)が確認したところ、法律191本、政令40本、省令77本の計308本の法令が検討対象。この中でも影響が大きい民法公選法を巡る議論の行方が注目される。【坂本高志】

これ、実際のところ、どうなのでしょう?
まだ法制審議会へ諮問する段階なので、すぐに成人年齢が18歳になる、と決まったわけではないのが救いですが。
もし、仮に成人=18歳になったら、各方面に色々と影響が出そうだなぁ、と感じました。
まず、高校生でも1人で土地売買をしたり車を買ったり高価なツボを買ったり借金したりできるようになってしまう点。
未成年とみなされなくなったら、簡単に契約の取り消しができなくなる訳で、これは色々とトラブルが増えそうな悪寒。
まあ、地方都市のしがない公務員である私にとっては、ほとんど関係のないお話ですが。

続いては、未成年男性の婚姻に両親の同意が必要なくなる点。
これについては、何故か条件反射で「男の人ばっかりずるい!」と思ってしまいました。
婚姻ができるようになる年齢の男女差については、今の世の中に合っていないな、と前から感じていたところです。
いっそのこと男女とも16歳にするか、18歳にするか、どちらかに統一すべきだと思うのですがどうでしょう?*1

そして、最大の関心事は、公選法との兼ね合いです。
国民投票法案が成立した時点で「投票可能年齢18歳かよ!」と密かに突っ込みを入れていたのですが……。
これで、選挙権を18歳以上にするとなると、色々と面倒くさそうです。
しかし、仮に国民投票と何らかの選挙が同時に行われることになったとしたら、資格要件が違うと現場がかなり混乱しそうだから、年齢を統一した方が間違いは少ないとは思うけれど、公選法国民投票法とでは名簿登録の住所要件が違う*2から、どちらにしても名簿は2種類作らなきゃならないのか……と、柄にもなく少し悩みました。

そもそも、国民投票法案で投票可能年齢を18歳以上にしたことに意味はあるのでしょうか?*3
と言ってしまったら、身も蓋もないですがw
しかし、この法案で18歳になったから、成人年齢の見直し論が出てきている訳で。
別に、今の状態でそれほど不都合も起きていないのだし、ここで波風立てる必要もなかったのでは?

まあ、仮に18歳になったとしても、親切な国(中央官庁の優秀な皆様)が万全の体制でサポートしてくれるでしょうから、私のような下々の人間があれこれと悩む必要もないでしょう(?)。

*1:16歳で結婚する女性がどれだけいるのか疑問ですが

*2:公選法は住民票を当該市町村に移してから3ヶ月以上経過、国民投票は投票日の50日前に当該市町村に住民票があること、が要件となる

*3:日本の20歳は少数派で、世界の成人年齢スタンダードは18歳らしいですが