『ニッポン硬貨の謎』

ニッポン硬貨の謎

北村薫氏の作品ですが、これは、エラリー・クイーンファンである彼が、クイーンの未発表原稿を訳している、という体裁で書かれたパスティーシュとなっています。

何を隠そう、私も高校時代にはクイーンの国名シリーズを読みあさったクイーンファンなので、楽しみに読みました。
何しろ読んだのが数年前なので、ああ、そういえば、作品に沢山脚注が付いていたなとか、思い出しながらの読書となりましたが、なかなかクイーンっぽい語り口だったのではないか、と思われます。
でも、事件の感じとか、犯人の動機とかは、あくまで私の受け止め方ですが、クイーンの作品とはちょっと感じが違ったような……。

本作においては、内容云々よりも、作品の中で素晴らしいクイーン論が展開されていて、それがとても秀逸でした。
『チャイナ橙の謎』と『シャム双子の謎』の間にある仕掛けなんて、私は全然気が付かずに読み飛ばしてましたし（汗）

クイーン好きならば、読んで損はない作品だと思います。
逆に言えば、クイーン作品を未読の人が読んだら、何を言っているのか分からないところが沢山あるかと。