『首無の如き祟るもの』

首無の如き祟るもの (ミステリー・リーグ)

首無の如き祟るもの (ミステリー・リーグ)

『厭魅の如き憑くもの』に続く「○○の如き○○するもの」シリーズ(?)2作目です。
このシリーズ、とにかく舞台装置が雰囲気満点のホラーで、殺人事件もホラーなのに、実際の真相は究めて現実的かつ謎解きも論理的でして、ホラーと本格推理小説のミスマッチがとても良い効果を生み出しています。
本作も、戦時中から戦後の山奥の村を舞台に、名家の跡継ぎ問題に絡んだ猟奇的連続殺人事件が起こる、というお話です。
祟り、一族に伝わる不思議な行事、首無し死体、全員にアリバイ成立。
ホラーなのに、きちんとミステリィしています。
戦争の爪痕と名家の跡目争いを作品に取り込んだ点など、何とも横溝正史っぽいところもあったりして、高校時代に横溝を読みふけっていた私としては、懐かしい気持ちになったりもしました。
それなりに長い作品ですが、夢中で読んでしまいました。


欠点というか、ちょっと惜しいな、と思ったのは、最後の最後の解決編で、探偵役が語る真相がコロコロと変わったところでした。
私はシンプルな真相が一番エレガントであると思うので、あまりゴテゴテした解決編が好きではないため、そういう感じ方をしてしまったのかも知れませんが。
しかし、一度作り上げた説をああいう形に変える必要はあったのでしょうか?
後の展開の伏線になっていなくもないと言えますが。
あれがなくても、普通に気が付くと思うんだけどな……。
でも、充分読み物としては面白かったので、たぶん次作の『山魔の如き嗤うもの』も読むと思います。
図書館で借りてw