『いかさま師』

いかさま師 (宝島社文庫)

いかさま師 (宝島社文庫)

柳原慧さんの作品です。
近所の本屋でたまたま見つけて、私の大好きなアート+ミステリィの作品だったので、一瞬買いそうになったものの、きっと図書館にあるに違いないと思って探してみたら、案の定あって、早速借りてきて読んでみました。
一応このミス大賞を取っている方ですし、間違いはないだろうと思ったのですが……。


う〜む。
確かに、面白かったです。
作中に出てくるラ・トゥールの絵も、けっこう好きですし。
しかし、細部の詰めが甘かったような……。*1
また、登場人物に同人作家が出てくるのですが、その人物の回想シーンで、違和感のある言葉が。*2
人間関係も、入り組んでいて分かりづらかったです。←文字を追うこと優先できちんと細部まで読まないので、特に
あと、主人公、男に弱すぎでした。
読んでいて、ちょっとイライラするタイプです。


全体的には、面白い作品ですが、人には勧めないレベルだと思います。
アートを絡めたミステリィって、難しいですよね。
きちんとアートに関する情報を入れたうえで、謎の要素も盛り込まなければならないのですから。
両者のバランスの見極めを誤ったり*3、公証が甘いと、残念な結果になりがちです。
今まで、私が納得したアートミステリィって、『ギャラリー・フェイク』と北森鴻さんの作品と高橋克彦さんのゴッホのお話だけです。
上記の作品だって、私が知らないだけで、あり得ない要素が含まれている可能性も充分にあります。
美術って、奥が深いですね。

*1:油絵って、湿度に弱いから、野ざらしになっていたら大変なことになると思うのですが

*2:やっぱり、腐女子って、まだ一般的な単語ではないのでしょうか?

*3:個人的な感想ではダ・ヴィン○・コードが該当する