問題集から長文消える 著作権で引用できず

記事は産経新聞です。

 大学入試の過去問題集などで、国語の長文読解問題の一部が掲載されない異例の事態が起きている。評論などを執筆した作家から著作権の許諾が取れていないためだ。教育業界では「教育目的」という大義名分のもとで無許諾転載が慣例化していたが、著作権保護意識の高まりから、大手予備校や出版社などが相次いで提訴されており、引用を自粛する傾向も目立ち始めている。(小田博士)

 ■「赤本」も省略
 大学入試の過去問題を集約した世界思想社教学社京都市)の「赤本」。センター試験の国語の問題集(平成21年版)の巻頭には「編集の都合上、以下の問題を省略しています。あしからずご了承ください」との注釈が記されている。作家3人から利用許可がおりず、9年度、14年度、18年度試験の現代文計3問で、問題文と設問がすべて省略されているのだ。
 18年度試験に使われた作家の別役実氏が掲載拒否したのを契機に、以前は掲載を認めていたのに態度を変えた人もいるという。

=中略=

 ■「業界は無頓着」
 なだいなだ氏や谷川俊太郎氏ら約350人が名を連ねる日本ビジュアル著作権協会(JVCA)では、作家の著作権処理を仲介しており、これまでに大手予備校や出版社など計69社を提訴した。
 曽我陽三理事長は「教育業界は著作権に無頓着過ぎる。きちんと権利処理せずに経費を抑えるのは言語道断」と主張する。
 これに対し、大手予備校の担当者からは「近年は厳密に対処して使用料も払っている。引用を認めてくれない作家が増えれば、授業は成立しなくなる。不利益を被るのは受験生だ」と憂慮する声もある。
 ■題材は減少傾向
 教材に引用できる長文は減少傾向にある。JVCAから訴えられた河合塾などでは、模擬試験やテキストで同会員の文章を使用しないようにしている。東進ハイスクールも今年2月以降、ネット上の過去問から同会員の文章を削除した。

あまり時間もないので、とりあえず思ったことを箇条書きにしてみます。


・赤本に国語の長文読解問題が載っていないなんて、今時の受験生カワイソス……。何が載っていたのか気になって、受験勉強が疎かになるに違いない。
・今までは、とりあえず入試問題に出しておいて、後から許可を取る形でやっていたが、そんな余裕のある時代ではなくなってきたのだろう。権利主張乙。
・教育目的だから許されるだろう、という教育業界の体質にも問題があったのでは?
・勝手に引用しておいて、事後承諾だと、ムカッとくる人も多いはず。
・でも、(入試問題特有の問題ではあるが)事前に著作権者の許可を得てしまうと、そこから情報が漏れるリスクが高まる。
・結局、一番被害を被るのは出題される受験生である。
・若者は国の宝!でも税金を払うようになるまでは宝の卵。
・出題者が自分で文章を書けば全て解決では?もしくは、自分の論文を引用するとか。
コペルニクス的転回で、国語の長文読解問題を作家・評論家が作るという手もある。