『崖の館』

崖の館 (創元推理文庫)

崖の館 (創元推理文庫)

佐々木丸美さんの作品です。
前から気になっていて、偶然図書館で発見したので、借りてきました。

一言でいうと、とにかく少女趣味です。
それも、萩尾望都さんの『ポーの一族』みたいな感じ。←読んだことはないが。
全編、涼子という16歳?の少女視点で語られているのですが、
「あらいやだ、○○は××なのね。私、△△だわ」
みたいな文体。
少しうんざりです(笑)
でも、うんざりしながらも、これはこれで味があり、幻想的で、雰囲気はばっちり。
もうとっくに思春期を過ぎてしまった人間には、少し胃もたれがしますが、けっこう面白いと思いますよ。


作品の中身について、少し書きましょう。
舞台は、北海道様似町の近くの百人浜
海を見下ろす崖には、素晴らしい館が建っています。
その館の主は、浮世離れした美しいお金持ちの叔母。
彼女は、数人いる甥姪のうちの1人、千波ちゃんを子どもの頃から養子にしていましたが、彼女は数年前に事故で他界しています。
千波ちゃんを慕って、今年の冬も従兄弟が6人集まってきました。
彼らは、千波ちゃんの事故を殺人と考え、真相を究明しようとします。
ところが、再び惨劇が……。
という内容。
その語り口が、少女マンガ全開で、非常に幻想的です。
そんな口調で言われたら、非現実的な真相にも納得してしまいそうです。
とは言っても、謎解き自体は、それなりに論理的です。
伏線もきちんと張って回収されています。
個人的には、ある人物の死因に釈然としないものがあるのですが、それもご愛敬かと。