『水に描かれた館』

水に描かれた館 (創元推理文庫)

水に描かれた館 (創元推理文庫)

佐々木丸美さんの作品です。
『崖の館』の続編にあたります。
内容がかなりリンクしているので、先に前作を読んでおかないと、訳が分からなく恐れがあるでしょう。


前回の悲しい事件が起こってから数ヶ月後(だと思う)。
館の主人である叔母さんが、財産目録を作るということで、従兄弟達の他に絵画や陶磁器、古文書などの専門家が4人、館に招かれました。
ところが、実際にやって来た専門家は5人。
招かれざる客が誰かは、誰にも分かりません。
おりしも、館は春の嵐ですっかり孤立し、電話も電気も使えなくなります。
いきなり迷い込んできた不思議な少女と、その失踪。
専門家の1人を襲う、不可思議な現象。
そして、ついに起こる殺人。
一体招かれざる客は誰なのか、そして事件の犯人は?といった内容のお話でした。


この作品も、とっても幻想的でした。
事件の真相は、前作以上に非科学的なものでしたが、この本のような語り口と舞台設定で使われたら、意外と素直に受け入れちゃいます。
現実的には、ほぼ100%あり得ないでしょうが。

我らが視点人物、従兄弟達の中で一番年下の少女・涼子は、館にやって来た専門家の1人に恋をしますが、その恋が何というか、思春期そのもので、何だかお尻がむずむずする感じでした。
もう、見てられない!みたいな。
「恋する自分に恋してる」というか、「ああ、前世とか運命とか信じちゃってるよ……」みたいな感じで、とっても痛い子になってしまっています。
でも、それがいい(笑)
乙女だなぁ……と微笑ましく見守るのも、また一興というやつです。