『ハードボイルド・エッグ』

ハードボイルド・エッグ

ハードボイルド・エッグ

荻原浩さんの作品です。
彼の本は、確か『神様からひと言』しか読んでいなかったと思いますが*1、語り口がほのぼのとしていて、けっこう好きです。


本作品は、探偵が主人公です。
それも、ただの探偵ではありません。
レイモンド・チャンドラーなどのハードボイルド小説に憧れ、ハードボイルドな人生を送りたいと思っているのに、現実はなかなかうまくいかないペット探偵です。
本当はペット専門の探偵ではないのに、初めて請け負った仕事がたまたま猫探しで、それが上手くいって、それ以来動物を探す依頼ばかりが舞い込むのです。
そんな探偵さんには、秘書がいます。
ダイナマイトバディの若い秘書を雇ったつもりが、何故か80過ぎのおばあちゃんです。
しかし、彼女もけっこうあなどれません。
要所要所で大活躍です。
その2人の掛け合いを楽しみつつ、物語の後半にお尋ね者になるシベリアン・ハスキーのチビのキャラクタにほんわかしつつ、偶然巻き込まれた殺人事件にハラハラしつつ、最後はちょっぴりほろりとする、そんな作品でした。
とにかく、現実をできるだけハードボイルドにしようと努力するのに、ことごとく現実に否定される主人公の様子が面白いです。
あと、主人公行きつけのバー「J」のマスター!
おでんのくだりは、くすくす笑いが止まりませんでした。

*1:『メリーゴーランド』も読んだか?