『落下する花―月読』

月読 落下する花

月読 落下する花

太田忠司さんの作品です。
前作『月読』に続く、シリーズ2作目になります。
人が死ぬと、物理法則を全て無視して「月導(つきしるべ)」が現れるという、私達が生きているのとは違う世界を舞台にした、連作短編集です。
この月導、普通の人には全く何も語りかけないのですが、月導を読むことができる「月読(つくよみ)」という人たちがいて、この本は、ある月読をめぐる物語となっています。
語り手は毎回異なり、ある時は憧れの先輩が目の前で自殺してしまった大学生、またある時は死んだ叔母の残したプレゼントが原因で命を狙われることになってしまった女性、といった感じです。
彼らの抱える事件を、月読である朔夜一心が月導を読むことによって解決していきます。
とても静かで、人間について考えさせられる本でした。