『黄昏の百合の骨』

黄昏の百合の骨 (講談社文庫)

黄昏の百合の骨 (講談社文庫)

恩田陸さんの作品です。
『麦の海に沈む果実』と『三月は深き紅の淵を』とリンクしている(というか麦海の続編)ということで、非常に楽しみに読んだのですが……。
だめだ、前に読んだ本の内容を完璧に忘れている(笑)
ということで、ウィキぺりながら読みました。
何しろ、麦海を読んだのは大学時代ですから(遠い目)


『麦の海に沈む果実』事件の後。
主人公の理瀬は、イギリス留学を切り上げ、小さな頃に祖母と暮らした家に引っ越すことに。
何故ならば、1年前に死んだ祖母が「水野理瀬が半年以上ここに住まない限り、家を処分してはならない」という遺言を残していたから。
2人の血の繋がらない叔母と、一見平和な高校生活を送っていた理瀬。
ところが、2人の叔母は何かを企んでいるようだし、理瀬も祖母の残した謎を解こうと色々調べている。
そして、亘と稔という、理瀬の従兄弟が祖母の法事のために里帰りした時、事件が起き……。
といったあらすじです。
前作の話をすっかり忘れていたので、理瀬という女の子がどんな子だったか把握するのに苦労してしまいました。
彼女は、まだ高校生なのに、妙に老成したところがあります。
それには、彼女の複雑な生い立ちが関係しているようですが……。
でも、同年代の男の子と話をしたりすると、きちんと少女の部分が出てきたりして、ああ青春だなぁ、と思ったり。


恩田陸さんは、こういう少し変わった(といっていいのか?)少女を書かせると、非常に上手な方ですね。
この本は、佐々木丸美さんが書くような幻想的な少女小説っぽい舞台装置に、冷静な視線を持った影のある少女を主人公として入れてみたような感じでした。
ちなみに、最後はスパイ小説っぽく終わります。
少し違和感。
だがそれがいい