『青年のための読書クラブ』

青年のための読書クラブ

青年のための読書クラブ

最近は桜庭一樹強化月間です。
前から気になってはいたのですが、読書日記を拝読して、なかなか面白そうな本を書く人だな、と思ったもので。
この本も、前から気になっていて、図書館に寄ったら運良く見つけられたので、借りてきました。
文庫落ちしたら買ってもいいかも……。


舞台は東京山の手にあるお嬢様学校、聖マリアナ学園。
校内のアウトロー少女達が集う読書クラブには、決して学園の正史には載らない事件が書かれた秘密の<クラブ誌>がありました。
この作品は、学園の始まりである1919年から2019年まで、読書クラブに集った少女達が連綿と書き綴った学園の裏の歴史を、いくつかの時代を切り取る形で描いています。
ああ、自分にもこんな時代があっただろうか、それにしても少女って何て残酷で怖い生物なのだろう、などとおののきつつ、1日で読了してしまいました。
私は残念ながら共学の公立学校人生なので、私立名門女子校の雰囲気って全然わからないのですが、中性的な美少女の中から王子様を投票で選ぶとか、学園で暗躍する姿の見えないヒーローに心底心酔して集団で大騒ぎするとか、少女小説でいうところの「S」関係*1になる少女達とか、いかにも秘密の花園的で非常に興味深かったです。
各章の冒頭に海外の古典作品が引用されていて*2、物語の中でもその作品がキィになっていたりするのですが、そのチョイスがまた絶妙で、作者さんの懐の深さを伺わせます。


全体的には、独特の雰囲気があって非常に良い作品だと思いますが、ちょっと気になったのが、作中の少女達の一人称が「僕」だったり、口調が妙に堅苦しかった*3ところでした。
雰囲気にはマッチしているので、全然問題はないのですが。
一歩間違えば厨二病黒歴史確定ですよ……?


個人的には、最後の章であそこ*4が出てくるところと、第3章で出てくる学園にある部活動のあだ名(生徒会→西の官邸、演劇部→東の宮殿、新聞部→北のインテリヤクザ、読書クラブ→南の変なやつ等)が気に入りました。
もし、私がこの学園の生徒だったら、間違いなく南の変なやつ等の仲間入りをしていたことでしょう。

*1:いわゆる女の子同士でウフフキャッキャな関係ですね。

*2:第2章の『哲学的福音南瓜書』だけは作者さんの創作か?

*3:「それは、きみ、○○だよ」とか「君、やめたまえ」とか。どこの英国紳士でしょう?

*4:中野ブロードウェイ。田舎モノである私の憧れの場所