『QED 諏訪の神霊』

QED 諏訪の神霊 (講談社ノベルス)

QED 諏訪の神霊 (講談社ノベルス)

高田崇史さんによるQEDシリーズです。
今回の舞台は、諏訪の御柱祭
あの、急な坂道を太くて長い丸太と男の人達が駆け下りる、非常に危険なお祭りです。
このQEDシリーズ、既に殺人事件はだたのおまけになっている観がありますが、今回もまさにそんな感じでした。
別に、殺人事件は必要なかったのでは?
しかも、前回の河童伝説に続き、無駄に血なまぐさいし……。
もう、割り切って現実の事件部分はすっぱりカットして、祟くんと奈々ちゃんの全国神社(お祭り)巡りでいいのでは?
そういえば、flumen(?)シリーズはそんな感じでしたか。
そういう形式でも、けっこう読者は付くと思いますが。


そんな本作ですが、とにかく謎に包まれている御柱祭、それとセットの御頭祭*1について、一定の解釈を打ち立てている点では、とても興味深いと思います。
私は不勉強なので、作者さん以外で既に同じ解釈をされている方がいるのかどうか分かりませんが、なかなか独創的で筋の通った結論で、凄いことを考えたな、と感心してしまいました。
製鉄民族と蛙(河衆)については、ちょっと飽きましたが。
しかし「殿上人以外は人に非ず」という考え方については、大いに賛成です。
あと、「歴史は勝者に都合の悪いことを語らない」という話についても。
我々の先祖は、ヒントを交えつつ、色々なことを風習という形で我々子孫に伝えてくれているのに、現代を生きる我々の、何と無知なことか。
QEDシリーズを読むようになってから、神社に行った時には、必ず参道の形*2と祭神は見るようになりました。

*1:昔は75頭もの鹿の頭を供えるとても血みどろなお祭りだったみたいです。

*2:太宰府天満宮の参道が曲がっていて、えらく感動した覚えがあります。