『名探偵の呪縛』

名探偵の呪縛 (講談社文庫)

名探偵の呪縛 (講談社文庫)

ひがぴょん*1の作品です。
『名探偵の掟』に続く天下一大五郎シリーズ第2作。
本作は、連作*2短編集だった前作とは全く違う趣向で、長編小説となっています。
前作は、かなり衝撃的な手法で本格ミステリをパロディっていましたが、本作では、「本格ミステリ」の存在意義というか、定義というか、とにかくそういった感じの事を考えさせられる内容でした。


作家である主人公は、調べ物をするために図書館に行ったはずが、いつの間にか知らない世界に迷い込んでしまいます。
その世界での主人公は、何故か名探偵・天下一大五郎と呼ばれます。
彼は、ある街の市長から依頼を受けてその街の図書館にやって来た、という設定になっていました。
ところが、その世界には、どうもおかしな点があります。
その街がどうやって出来たのか、住人達は誰も知りません。そして、「本格推理小説」というものが全く存在しませんでした。
そんなパラレルワールドで、主人公は、その街の礎を作ったとされる人物が住んでいた建物(現在は記念館になっている)で起きた盗難事件の調査を依頼されます。
調査を進めていくうちに、事件の関係者が次々と本格推理小説的シチュエーションで殺されていきます。
まずは密室、次は犯人消失、最後は嵐の山荘、そして誰もいなくなった……。
最後は無事犯人を見つけ出したものの、盗難事件については、メタな展開で解決がなされて終わりました。


もちろん面白いのですが、少し読みづらいので、単純に楽しみたい方は『名探偵の掟』のみを読めばいいのではないか、と思います。

*1:人気ミステリー作家・東野圭吾氏の本ブログにおける愛称。以下同じ。

*2:というか名探偵天下一大五郎が登場することが唯一の共通点といってもいい