『警視庁特捜班ドットジェイピー』

警視庁特捜班ドットジェイピー

警視庁特捜班ドットジェイピー

前から読んでみたかった、我孫子武丸さんの作品です。
これは、絶対にコメディです!
だって、登場人物が……(笑)


総理大臣及び警視庁は、連続する不祥事のせいですっかり評判が落ちた警察のイメージアップを図るため、戦隊ものをコンセプトに新しいプロジェクトを立ち上げます。
その名も、警視庁特捜班ドットジェイピー!
沢山の警察官の中から選ばれたメンバーは、
キュートな巨乳のヴァージンホワイト(格闘技マニアで極度の男性恐怖症)、モデル体型の美人ビューティパープル(でも腐ってる)、ワイルド系イケメンのソルジャー・ブルー(もの凄いガンマニア)、フランス人とのハーフでウィーン少年合唱団にも入れそうなキューティーイエロー(女たらし)、コンピュータに詳しいクールな眼鏡男子デジタルブラック(極度の潔癖性)。
そして、彼ら5人をまとめるのは、ドラマ『太陽に吠えろ』が大好きなロマンスグレーのボス!
……と、ここまで書いた時点で、既にかなりネタっぽい設定です。
ちなみに、戦隊にした理由は、警視総監の愛人が戦隊もの好きだから。
「ドットジェイピー」という名称は、警視庁職員による公募で決定*1
さて、肝いりで警視庁のPR活動を始めた彼らですが、早速お披露目の記者会見でヴァージンホワイトが暴走。
仲間のナイスフォローで事なきを得たものの、滑り出しは順調とは言えません。
更に、大規模な交通キャンペーンの会場で、以前ヴァージンホワイトに乱暴をしようとしてメッタメタにされた男が、逆恨みで彼らを陥れようと罠を仕掛けます。
卑怯な手に出る強姦魔VS警視庁特捜班ドットジェイピー。
果たして、勝利の女神はどちらに微笑むのか?
それぞれ長所・短所のある彼らですが、個々の能力を存分に生かし、事件解決に奔走します。*2
この時点で、既に戦隊ものにした意味はありませんが、そこはご愛敬です。


この作品、設定も素晴らしいですが、もう1つ華を添えるのは、喜国雅彦さんの挿絵です。
ベストマッチでした。すっごく雰囲気出てます。
つい、喜国さんの絵と文章が見たくなって、『メフィストの漫画*3』と『本棚探偵の回想*4』を本棚から引っ張り出して読んでしまいました。


我孫子武丸さんといえば、探偵役が腹話術の人形*5とか、探偵役でヒロインなのに名前は一郎(いちお、と読む)とか*6、ネタっぽい設定には定評のある作家さんだと勝手に思っており、コメディとミステリの融合がとてもお上手で、尊敬する作家さんの1人です。
人形シリーズの新刊、出ないかなぁ。


P.S.
一番笑ったのは、デジタルブラックの変装かも知れない……。*7

*1:お偉方に任せておいたら古くさい名前を付けられそうだ、と若手職員が頑張って考えたらしい。

*2:唯一、会計課のお荷物にして「凄くもったいないハンサム」ことボスは、足を引っ張っている感あり。

*3:奥様の国樹由佳さんとの共著

*4:喜国さんの古本ライフを綴ったエッセイ

*5:『人形はこたつで推理する』から始まる人形シリーズ

*6:デビュー作『8の殺人』から始まる速水三兄弟シリーズ

*7:天空の城ラピュタのキャラ(ムスカメイン)と、「見ろ!人がゴミのようだ」という名台詞が付いたトレーナーを着るなんて!