『少女には向かない職業』

少女には向かない職業 (ミステリ・フロンティア)

少女には向かない職業 (ミステリ・フロンティア)

実は、桜庭一樹強化月間続行中です。


いきなり、「中学二年生の一年間で、あたし、大西葵十三歳は、人をふたり殺した。」という衝撃的な一文から始まる本作品は、何というか、暗い青春です。
自分が中学生だった頃の、何とも言えない苛立ちとか、大人に対する漠然とした不信感とか、そういったものが沢山詰まっています。
あの年代って、とにかく悲劇のヒロインぶりたいというか、何でも劇的なとらえ方をしてしまうというか、とにかく若くて、地に足がついてなかったような気がするのですが、そういった微妙なお年頃の精神状態を彷彿とさせる雰囲気を感じました。
桜庭一樹独特の、軽くて読みやすい文章で、物語はどんどん加速していき、ついに茜は人を殺してしまう訳ですが……。
最初のやつは、厳密な意味で殺したっていうのかな?
などと、少し疑問を感じつつ、読了。
最後の、唐突に放り出される感じがそっけなくて寂しくて、少し悲しくなりました。


主人公、葵の「人付き合いは楽しいけれど疲れる」という感想に、激しく同意。
葵のパートナ、謎めいた少女・静香の抱える心の闇に((;゜Д゜)ガクガクブルブル。
葵の友達は、はっきり言って子供で、世の中ではたぶん一番多いタイプで、それに触発されて、自分の黒歴史を何となく思い出したり。
私は、中学生くらいから悟りきった嫌な子供だったので、そういったスイーツ(笑)が苦手でした。
かといって、静香と良いお友達になれるか、と言われれば、それも疑問ですが。


ほんと、桜庭一樹は、少女を書くのが上手いなぁ。
あの、わざとらしさがいい!
時間が経ってから思い出したら、恥ずかしくて居たたまれなくなるのが青春なのです。