『文学少女と月花を孕く水妖』

“文学少女”と月花を孕く水妖 (ファミ通文庫)

“文学少女”と月花を孕く水妖 (ファミ通文庫)

本を食べちゃうくらい愛している文学少女天野遠子先輩が主人公の”文学少女”シリーズ第6作です。
ただし、番外編的位置づけらしく、時系列的には、心葉くんが高2、遠子先輩が高3の夏休みです。


「悪い人に誘拐されました」という遠子先輩からの電報を受け取り、慌てて山奥の別荘に駆けつけた心葉。
そこは、彼らが通う学園の「姫」こと、経営者一族の姫倉麻紀の別荘でした。
遠子先輩の催促に応じて、いつもの三題噺を書いてあげる心葉くんですが、どうも別荘の様子がおかしい。
使用人はどこか怯えた様子だし、街の人は、別荘には幽霊が出ると噂している……。


80年前の惨殺事件の真相、そして、現在進行形の怪奇現象を”想像”で解決するのは、もちろん、文学少女である天野遠子先輩です。


今回の話のモティーフは、泉鏡花の『夜叉ヶ池』でした。
泉鏡花って、読んだことはないのですが、とにかく耽美なイメージがあります。
幻想的な作品が多いみたいですね。
『夜叉ヶ池』にも、池に住む竜が出てきます。
日本のお話と竜って、あまり合わないかも……。


文学少女シリーズは、今まで読んだことのない、読もうとすら思わなかった古典的名作が沢山出てきて、読書のバリエーションを広げるのに最適です。
泉鏡花も、青空文庫にけっこう載っているみたいだし、頑張って読んでみるか……。