『愚者のエンドロール』

愚者のエンドロール (角川文庫)

愚者のエンドロール (角川文庫)

氷菓』に続く「古典部シリーズ」第2作です。
学園祭に向けて盛り上がる神山高校ですが、2年F組のクラス発表で問題が勃発!
何と、制作途中のビデオ映画の脚本担当者が倒れ、脚本が完成しないというのです。
ビデオ映画の内容は、ミステリー。
廃墟で死体が見つかった所までは、出来上がっています。
例によって、古典部部長の千反田えるちゃんが好奇心を発揮し、古典部の4人が関係者にインタビューを行いつつ、ビデオ映画の結末を推理することに。
果たして、犯人は無事見つかるのか?というお話でした。


本作は、作者の米澤穂信さんによると、バークリーの『毒入りチョコレート事件』へのオマージュだそうですが、私がまず思い浮かべたのは、我孫子武丸さんの『探偵映画』でした。
もう、かなり前に読んだので、中身はほとんど忘れてしまいましたが……。
未完のミステリー映画の結末を推理する、という点で良く似ています。
と思ったら、米澤氏も、あとがきで『探偵映画』に触れていました。


結局、探偵役の省エネ高校生・折木奉太郎くんが見事つじつまの合う結論を導き出し、ビデオ映画は無事完成します。
ところが、それで大円団、というわけにはいかなかったのです。
その後、明らかになったこの事件(?)の本質は、本書を読んでのお楽しみ、ということで。


この作品に付けられている英語のタイトル”Why didn't she ask EBA?”(『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』というクリスティーの小説のもじり)というフレーズが、まさに事件の本質を突いています。