『南極(人)』

南極(人)

南極(人)

京極夏彦氏といえば、妖怪が出てきて京極堂が辛気くさく憑き物落としをするシリーズが有名ですが、この作品は、そういった雰囲気とはまったくかけ離れています。
何が違うって……。

バカなんです。
登場人物が。
京極さんは前作で懲りて、もうこういった路線のものは書かないと思っていたのですが……。
様々な名作を全てお相撲さんで塗りつぶした怪作『どすこい』のキャラが再び登場!ということで、張り切って
図書館で予約しました。
で、しばらく待って、手元にやって来たのですが……。


相変わらず、良い感じでおバカでした(笑)


一応主人公(だと思う)南極夏彦の駄目さ加減と扱いの悪さには磨きがかかり、美人女性編集者椎塚嬢の蹴りも職人技の域に達しています。
更に、悪食編集者の寺坂氏や顔のでかいヲタク・片岡(何故か広告代理店に就職している)も再登場。
更に更に、ニューキャラで変なオカルト学者やら少しずれた新人編集者やら可愛い女子高生やらが登場して、もうハッキリ言ってカオスでした。


前作は全てお相撲さんで統一されていましたが、今回はこれといって共通したモティーフはない……のかな?
基本、短編のタイトルは名作のパロディですが、内容はほとんど関係ないかと思います。
ていうか、関係があったら、色々な意味で怖いです……。
個人的には、大極宮で前から話題になっていた「毒マッスル海胆ばーさん用米糠盗る」が読めただけで、もうお腹いっぱいでした。
他にも、こち亀赤塚不二夫さんとの超豪華なコラボもありましたよ。
京極さん、凄い!


といった感じで、内容もさることながら、特筆すべきは装丁の豪華さ(?)です。
とにかく凝ってます!
短編によって紙質が違ったり、段組やフォントが違ったりします。
また、単行本に付いているヒモ(栞?)が、簾ハゲ仕様に……。
ちゃんと1本だけ白髪が入っているという徹底ぶりです。
よくやるよなぁ……。